【入浴介助】きつい入浴介助で看護師が倒れない方法

入浴介助にあたっている看護師、介護職の方ほんとうにお疲れ様です。

入浴介助は高齢者の清潔を守るために大切な援助ですが、きついと感じる場面も多いのではないでしょうか。

「お風呂の暑い環境に長時間いるのがしんどい」「介助量が多くてい腰が痛い」「気分不良で倒れそうになったことがある」このような悩みを抱えている看護師さん・介護士さんはいませんか。

病院、施設、自宅とどの環境であっても高齢者の入浴介助のトラブルや悩みは発生しています。

病院・施設・自宅での入浴介助を行った私の経験をもとに、入浴介助の実際、きつい原因や理由、そして対策をご紹介していきます。

活用できそうな方法があったら、ぜひ活用して少しでも楽に入浴介助に励んでもらいたいです!

目次

入浴介助って実際にどんな感じ?場所別のリアル体験

私は今までに病院、デイサービス、老人ホーム、ショートステイ、訪問看護、訪問入浴での入浴経験があります。

入浴介助と言っても場所によって、方法や高齢者の介護度、環境が違ってくるなと感じました。

それでは勤務場所別に実体験をご紹介していきます。

病院での入浴介助

病院での入浴介助は病棟と患者さんの特徴によって変わってくると感じたよ!
私は急性期・療養・回復期リハビリテーション病棟で入浴介助したことがあるんだけど、それぞれの体験をお話します♪

急性期病棟

患者さんの特徴

  • 病状が急激に変わるリスクが高い
  • 手術や処置後で創傷がある
  • 点滴やドレーン、膀胱留置カテーテルなどが挿入されている
  • 60代以下の患者も多くADLは自立している場合もある

急性期は病気や怪我を負った直後であり、状態が変化しやすい時期です。

急に病気を発症した60代以下の患者さんも多く、もともとADLが自立しているという場合も少なくありません。

そして手術や処置を受け、ドレーンや点滴が入っている場合も多いのが特徴です。

入浴方法 

  • シャワー浴
  • 介助浴

このふたつが私の勤務していた病院では多かったです。

創部があったり、チューブ類が挿入されていることから入浴まではできず、シャワー浴となるケースが大半でした。

また患者さんのADLが自立していることもあり、援助は見守りや洗体の軽介助でした。

看護師ひとりに、患者さんひとり入浴介助を行うため、同時に何人もの患者さんを見守ったり援助するということはなかったです。

入浴時間

衣服を脱ぐ時間やドライヤーの時間を含めても20分程度で終了する場合が多かったです。

循環器疾患を抱えている患者さんは心負荷なども注意しなければいけないため、長風呂は禁物です。

慢性期病棟・回復期病棟

患者さんの特徴

  • 病状の危機的な状況を乗り越え比較的安定した人が多い
  • 60代以上の高齢者の割合が高い
  • 回復期はリハビリの途中などの患者が多い
  • 療養病棟は介護度の高い患者が多い

患者さんの病状は比較的安定している場合が多く、退院に向けてリハビリをしていたりします。

また80代以上の高齢者の割合が高く、寝たきりなどの介助を必要とする方が多いです。

入浴方法

  • シャワー浴
  • 機械浴

入浴にも介助が必要で、軽介助でシャワー浴・全介助で機械浴となる場合が多いです。

私が病院で経験したことのある機械浴はストレッチャー浴です。

回復期や慢性期は入浴を必要とする患者さんの人数も、介護負担も増えるため、スタッフはひとりではなく2~4人で行っていました。

入浴時間

私の経験では入浴人数が少なくて10人前後、多くて20人あまりです。

なので入浴介助に入っている時間も長くなり最短で2時間、長くなると4時間ということもありました。

機械浴は患者さんがひとりづつ入浴したり、介助量も多いため1時間に4~5人できるパターンが多いです。

施設での入浴介助

デイサービス、老人ホーム、ショートステイでの入浴介助の経験があるけれど、その施設の入浴設備や環境は様々だと思ったよ!

デイサービス

デイサービスでは数人が入れる浴槽に入っていくと言うパターンが経験の中では多いです。

利用者さんのADLは歩行ができるレベルから立位介助が必要な方が多く、寝たきりで全介助の割合は少な目でした。

デイサービスの規模や方針によって入浴する人数はバラバラでした。

ですが決まった時間内に利用されている人数を入れなければいけないと言う特徴があると思います。

施設や病院であれば業務の都合上どうしても入れなかった場合は日にちを調節することができますが、デイサービスの場合は利用日が決まっているためそういうわけにはいきません。

有料老人ホーム・ショートステイ

介護付き有料老人ホームとショートステイはひとりづつ介助して浴槽に入浴していました。

施設の中に2~3つの浴室があり、1人ずつ順番に入浴していきます。

全介助の利用者は機械浴を行い、軽介助で実施できる利用者はシャワー浴と浴槽への入浴を行っていました。

施設の規模にもよりますが、1日あたりの入浴者は4~8人でした。

入浴時間は一人当たり15分から30分以内といった感じです。

1人ずつ浴室で入浴できるのは、はプライベート空間が保たれており、ゆっくりと入る時間を確保できるのがいいポイントです。

訪問看護での入浴介助

自宅での入浴は、その人のやり方やADL・環境をよく観察して、いろんな工夫を取り入れながらしていたよ!

訪問看護は利用者さんが自宅でお風呂に入ってもらえるよう援助します。

設備や環境がその自宅によって異なるのでそれぞれに応じた工夫が必要になってきます。

私は1人で訪問に行っていたので、入浴介助はひとりで援助できる軽介助レベルでした。

訪問看護は時間が決まっており、その時間内で援助をすることも求められます。

また利用者さんは高齢で徐々にADLが低下していくので、手すりやシャワーチェアーの導入など必要に応じて検討していく必要がありました。

そして訪問看護は利用者本人だけでなく家族との関わりも密なので、援助の方法について指導したり、家族の困り事も解決していきます。

訪問入浴での入浴介助

訪問入浴サービスは専用の浴槽を自宅まで持っていき、利用者さんの自宅でお風呂に入ってもらうよ!

入浴方法

専用の浴槽を車に積んで自宅まで運びます。自宅内で浴槽を組み立てて入浴できる移動するお風呂屋さん。

そして自宅の水道にホースを接続してボイラーを使用しながら浴槽にお湯を貯めていきます。

訪問入浴は看護師1人、介護スタッフ2名の計3人で回ることが多いです。

看護師は入浴前後のバイタル測定をし、利用者さんの健康状態の観察や入浴の可否を決定します。

利用者さんの特徴

歩行ができる方から全介助の方まで様々です。

入浴件数と時間

入浴件数は会社によっても変わるようですが、5~10件の場合が多かったです。

訪問1件あたり1時間弱で、合計7~8時間。途中車の中で1時間弱休憩します。

入浴件数が10件あると多い方で終わる頃にはクタクタになっています。

病院や施設、在宅では入浴介助時間は30分~長くて4時間程度でしたが、訪問入浴は1日です。

ここまで職場別に特徴を挙げてみました。同じ経験をされた方は「私もそれしたことある!」と振り返りになればいいですし、経験したことのない分野は「そんな感じなんだ」と思って貰えると嬉しいです。

それでは次に入浴介助がきつい原因と理由についてお話していきます。

入浴介助がきつい原因・理由

体力面でのきつさ

入浴介助は患者さんの体を支えたり、持ち上げたり体力をたくさん使います。

また更衣介助でしゃがんで介助したり、体を洗う際にも腰をかがめたりしますよね。

それが数時間続くことで身体的な負担が大きくなってきます。

一度入浴介助をスタートすると次から次に患者さんが来るため座ることもなく、立って動きっぱなしになることも少なくありません。

入浴介助に多く入るスタッフの中には腰痛になるパターンが多いです。

無理に力づくで援助を続けていると、自分の体にも影響が出てきてしんどくなってきます。

お風呂という環境

浴室の中は高温多湿となっています。施設環境によっては換気設備がなかったりなんてことも…(泣)

私も今まで勤務した職場で換気と冷房がない施設があったんです。

夏場は本当に地獄でした。湯気がムンムンのなかで空気も換気されないので息苦しさと汗が滝のように流れていました。

またヒートショックのリスク軽減や高齢者の体温調節の問題から、空調を冷やしすぎないようにしている影響で脱衣所なども暑くなりがちです。

現在はコロナの影響で入浴介助中でもマスクを外せないというのも大きいです。

お風呂という高温多湿の中で数時間マスクをして動き続けるのは息苦しいです。

お風呂は気温と湿度が高く、風も少ない、運動量が多く体に熱がこもる、水分補給がしづらい。

これらの要因は介助スタッフの熱中症や脱水へとつながります。

患者さんの体調と安全が第一ですが、それを優先しすぎるあまりにスタッフが体調不良で倒れてはいけません。

精神的プレッシャー

「患者さんの体調変化に気づかなければいけない」

「患者さんが絶対転倒転落しないように援助しなければ」

と考えながら入浴介助をしている看護師さんも多いのではないでしょうか。

転倒や皮膚損傷は患者さんの生命に関わることや、医療者の過失となる場合もあり責任重大です。

慎重・安全な援助を求められる一方、入浴介助を必要とする高齢者の人数は多くスピードも求められます。

限られた時間の中で、全員をお風呂に入れていく。これが精神的プレッシャーに。

また看護師は入浴介助中に患者さんの皮膚トラブルがないかよく観察しています。

早期発見が治癒の早さにもつながるので、折角のお風呂で皮膚を見やすいチャンスを逃したくありません。

状態変化への注意、転倒転落予防、皮膚トラブルへの対応など同時にいろんなことを考えながら援助にあたる精神的負担もあります。

患者さんの入浴拒否

認知症の患者さんに多いのが「入浴拒否」。

お風呂に入るのにもっていくまで体力も精神も使い果たした経験がある方もいるのではないでしょうか。

あの手この手を尽くしてようやく浴室へ。服を脱がそうとしたら大暴れなんてことも。

認知症の方の中には、なにかのタイミングで突然手足を暴れだしたりして、転倒しないかヒヤッとした経験もあります。

案外お風呂に入ってしまうと「気持ちいい~」というパターンも多いですが、そこまでにエネルギーを使って疲労がたまっていくパターン。

衛生面

入浴介助中は手袋をしていてもどうしてもお湯が中に入ってきたり、破れたりすることもあります。

入浴中に尿や便を処理しなければいけない場面も多く衛生面が気になることも。

施設などでは患者さん毎に湯船を入れ替えるのが難しいため、同じお湯で入浴することもあります。

入浴介助は毎日行えないので、皮脂が蓄積している患者さんが多く湯船が汚れやすいと感じます。

あと私の経験なのですが、訪問入浴では手袋を使用しないという事業所があります。

医療機関では感染対策の面から患者さんに触れるケアをする時は手袋をするので驚きでした。

陰部も素手でタオルを使用して洗うという場合もあるため、衛生面が気になる時は事前の確認と手袋の使用可否を聞いておくことが大切です!

スタッフとの人間関係

入浴介助の担当メンバーは数時間一緒に介助をすることも多いです。

気心の知れた人や協力しやすいメンバーであれば問題ないのですが、やりづらい人と重なった場合はしんどいですよね。

私の経験としては、患者さんに対する態度が横柄でケアが雑なスタッフがいて、同じ入浴担当になった日は気持ちがげんなりしていました。

数時間嫌な言葉や態度を見続けるのはしんどかったです。

日頃からスタッフ間でコミュニケーションを取り、良好な人間関係を築いておくことが大切ですね。

入浴介助を少しでも楽にするための対策

水分補給

「水分補給」は介助者が倒れないために何よりも大切です。

入浴介助をしていると時間に追われたり、患者さんの援助を優先してどうしても自分のケアは後回しになりがちです。

「介護現場における入浴介助者の体液の変動に関する検討」という実験では、「施設、季節を問わず介助者に1時間約200mlの体液減少が起きている」との結果が出ています。

知らず知らずのうちに1時間に200mlもの水分が出ていっているのです。

自分では「大丈夫、喉も渇いていない」と思っていても積極的にこまめに水分補給をしましょう。

塩分も体から喪失しておくので、お茶や水ではなくスポーツドリンクがオススメです。

また塩飴やタブレットなども簡易的に塩分を補給するのにいいですよ。

こまめに水分・塩分を補給できるように浴室内などすぐに取れる場所に置いておきましょう♪

脱水と熱中症予防をしっかりして介助者が倒れないことが患者さんの安全にもつながります。

暑さ対策

コールドネック/保冷剤を首に巻く

コールドネックという首に巻けるタイプの保冷剤が売っているのでおススメです。

コールドネックでなくても保冷剤をタオルで巻いて首に付けて、首元も冷やすのもいいですよ。

首元が冷えるだけで体感温度はだいぶ違います。ひんやりして気持ちいいです!

暑さで気分が悪くなってくるのを予防できます。あとタオルがあると汗を拭けるので一石二鳥♪

半袖・半パン

ゆるめの半袖半パンを着用することで通気性が良くなり楽になります。

入浴介助時は防水エプロンをすることも多く、余計に体温がこもりやすいです。

冬はヒートテックを着て勤務をしていたら、そのままヒートテックで介助にあたるという方もいると思います。

ですが冬場でも汗をかいて肌着が水分を吸収したり、濡れた結果入浴後に寒さを感じることもあるので、私は入浴介助の時は肌着を交換しています。

マウスシールド

マスクだと熱気と湿気、自分の汗で濡れてどんどん息苦しくなってくることも。

コロナの影響で厚生労働省からも入浴介助中はマスクは着用するように勧告されています。

そこでマウスシールドをおすすめします。

マウスシールドが湯気で曇ったり、水分が付くことはありますが口元を密閉した感じで苦しくなることはありません。

マスクと比較すると息苦しい感じがマシになりますよ♪

メッシュジャケット

メッシュジャケットというジャケットの中に保冷剤を入れることができる服があります。

入浴用の服の上からこのジャケットを羽織り防水エプロンをすれば、ひんやり涼しさが持続します。

休憩をはさむ

頑張って介助してくれるスタッフ程、休憩なしで入浴介助にあたってくれたりします。

でも介助するスタッフの体も大切です!!

限られた時間の中で、追われるように患者さんをお風呂に入れていると休憩時間すらもったいないと感じることもあると思います。

でもほんの少しの休憩が心身をリラックスさせ、効率よく安全に介助することに繋がるのです。

大人の集中力は長くて50分と言われています。私たちの脳は連続して長時間集中できない仕組みになっているのです。

数分でもいいので休憩を挟み、頭のリフレッシュとともに大切な水分補給をしましょう!

腰痛対策

入浴介助を長年やっているスタッフの中には腰痛で悩んでいる人も多いでしょう。

入浴介助は体に負荷がかかる業務です。

長期で援助できるためには、腰痛を予防することが大切です。

ボディメカニクスの活用

時間に追われるあまり、少しくらい大丈夫と力技で援助していませんか??

積もり積もった無理はいつか大きな体の影響となって出てきます。

例えばストレッチャーにに寝ている患者さんの体を抱き起こすときは、腰を曲げて前かがみになるのではなく、膝を曲げて腰を落とし、重心を低くした状態で動くようにします。

ベッドやストレチャーもスタッフの身長に合わせて援助するなど、腰や体に負担がかかりにくい姿勢や動作を身につけると腰痛は予防できますよ♪

コルセットの使用

とは言ってもすでに腰痛がある人もいるでしょう。

そんな場合はコルセットの使用もオススメです。腰を固定してくれることで痛みが軽減します。

勤務の相談

あまりにも入浴介助の業務や回数が多いなどでしんどい場合は上司に相談しましょう。

勤務体制を見直してくれるかもしれませんし、疲労の原因となっているシステムの改善につながる可能性もあります。

入浴介助の少ない仕事に転職しようとする前に、一度相談してみるのは有効だと思います。

それでもしんどい状況が続くのであれば転職もひとつの選択肢として考えてみてもいいかもしれません。

まとめ

・職場によって様々な入浴介助の方法や、患者さんの特徴がある

・入浴介助は身体的にも精神的にもきついと感じる原因がある

・入浴介助中はしっかりと水分補給をしたり、ボディメカニクスを応用することで疲労予防と自分の体を守ることが大切

高齢社会が進んでいる現在、さらに介護を必要とする人は増え入浴介助の需要は増えます。

しんどい部分もありますが入浴介助は高齢者の清潔を保ち、心身のリラックスを与えられる仕事です。

患者さんに「気持ちよかった。嬉しい。」と言われたら頑張ってよかったと思える瞬間に出会います。

介助しているスタッフは患者さんのことも、自分のことも大切にしながら、楽しい入浴時間になるといいですね♪

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この記事を書いた人

看護師とライターの兼業。より良い医療現場と疲れた看護師さんを減らすことが目標。平凡看護師の私が少しでも仕事やプライベートで生き返るための方法を書いています。

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